朝の出勤時や休日のドライブに出かけようとしたとき、車のエンジンがかからないというトラブルに見舞われた経験はないでしょうか。
車は日常生活に欠かせない移動手段であるだけに、いざという時に動かなくなると非常に困ってしまいます。
この記事では、車のエンジンがかからない原因と、その対処法について詳しく解説します。
初心者でも理解しやすいように、トラブルの兆候から、緊急時の対応・修理の必要性までを丁寧に紹介していきます。
突然のエンジントラブルにも落ち着いて対応できるよう、ぜひ参考として最後までお読みください。
目次
エンジンがかからない主な原因とは?
エンジンがかからない原因は多岐にわたりますが、大きく分けて5つの原因が考えられます。
ここでは、それぞれの原因についてなぜ起こるのか、どのように確認すれば良いのか見ていきましょう。
バッテリーが上がっている
最も多い原因のひとつが、バッテリーの電圧低下、いわゆるバッテリー上がりです。
ヘッドライトの消し忘れや寒冷地での放電などにより、バッテリーは意外と簡単に弱ってしまいます。
キーを回してもカチカチと音がするだけ、メーターが光らないなどの症状があれば、まずバッテリーを疑いましょう。
燃料切れ・燃料系統の問題
単純に燃料が切れている、あるいは燃料ポンプやフィルターが詰まっているケースも少なくありません。
最近給油した記憶がなければ、燃料メーターの確認は必須です。
また、古いガソリンが劣化して点火しないこともあります。
スターター・セルモーターの故障
キーを回してもエンジンがうんともすんとも言わない場合、セルモーター(スターターモーター)の不具合が疑われます。
これは、エンジンを始動させるための電動モーターで、バッテリーが正常でもこの部品が壊れているとエンジンはかかりません。
点火系統の不具合(プラグやイグニッション)
エンジンは、燃料と空気が混ざった混合気に点火することで動き出します。
その「点火」を担うのがスパークプラグやイグニッションコイルです。
これらが劣化していると、燃焼がうまくいかず始動できないケースがあります。
ヒューズ・配線など電装系の異常
車の電装系には多くのヒューズが使用されています。
エンジン始動に関わるヒューズが切れていたり、配線が断線していると、いくらバッテリーや燃料が正常でもエンジンはかかりません。
こうした問題は目視では判断しづらく、点検には専門知識が必要です。
車のエンジンがかからない時の対処法
ここからは、実際にエンジンがかからなかった場合にどう対処すれば良いかを紹介します。
原因によって対処法は異なりますが、基本的な流れを緊急時にすぐできる対応を覚えておきましょう。
バッテリー上がりの場合の応急処置
ジャンプスタートが有効なケースが多いです。
ジャンプケーブルと救援車があれば、バッテリーを一時的に補助してエンジンをかけることができます。
最近では、ポータブルジャンプスターターを携帯している人も増えています。
こうした機器があれば、自分一人でもエンジン始動が可能です。
セルが回らない時の対応
スターターモーターが原因の場合、一般ユーザーでは対応が難しいため、レッカーで整備工場に運ぶ必要があります。
ただし、まれにギアの位置が原因(パーキングでない、クラッチが踏まれていない)など初歩的なミスでエンジンがかからないこともあるので、操作ミスがないかは確認しましょう。
燃料の確認
燃料が空であれば当然エンジンはかかりません。
メーターが動作しない場合には、センサーや電気系のトラブルも考えられます。
見落としがちですが、燃料キャップの閉め忘れで気化してしまっているケースもあります。
エンジンがかからないトラブルを防ぐには
突然のエンジントラブルを未然に防ぐためには、日頃からのちょっとした心がけと、定期的な点検が欠かせません。
ここでは、日常的に意識すべきポイントや、トラブル回避のための基本的な対策について紹介します。
定期的なメンテナンスが重要
エンジントラブルの多くは、日々の点検で予防可能です。
バッテリーの電圧・エンジンオイル・冷却水・ブレーキフルードの液類プラグの劣化状態などは、定期点検で確認される項目です。
最低でも半年に一度は点検を受けるようにしましょう。
バッテリーの寿命を把握しておく
一般的にバッテリーの寿命は2〜4年程度とされています。
走行距離や使用環境にもよりますが、使用年数が経っている場合は早めの交換を検討しましょう。
寒冷地では特に、冬の朝に突然バッテリーが死ぬことも珍しくありません。
社外製パーツの使用には注意
安価な社外パーツや、互換性のない部品を取り付けると、電装系統に不具合が出てエンジンがかからない原因となることがあります。
信頼できる整備工場での取り付けや、純正パーツの使用が安全です。
すぐに整備工場・ロードサービスを呼ぶべきケース
車のエンジンがかからない状況に陥ったとき、すべてのケースで慌ててプロを呼ぶ必要があるわけではありません。
中には自分で対処可能なトラブルもあります。
しかし、原因によっては早急に整備士やロードサービスの助けを借りるべき場合もあります。
ここでは、原因別に自分で対応できる可能性があるケースとすぐに専門機関へ連絡すべきケースに分けて、それぞれの適切な行動を紹介します。
バッテリー関連のトラブル
自分で対処できる可能性があるケース
バッテリー上がりでセルモーターがカチカチと音を立てるだけの場合、ジャンプスタートで始動できることがあります。
ジャンプケーブルと救援車、あるいはモバイルジャンプスターターを使用すれば、短時間で復旧できる可能性があります。
プロに連絡すべきケース
- バッテリーが完全に劣化している場合(年数が3年以上経過しているなど)
- ジャンプスタートしてもエンジンがかからない場合
このような場合は、JAFや任意保険のロードサービス窓口に連絡をしましょう。
バッテリー交換もその場で対応可能なケースが多く、迅速に走行可能な状態に戻せます。
燃料系のトラブル
自分で対処できる可能性があるケース
ガソリンの残量を確認し、単純な燃料切れであれば、携行缶で給油すればエンジンはかかります。
また、ガソリンスタンドまで近距離であれば、補給後に問題なく始動することもあります。
プロに連絡すべきケース
- 燃料が十分にあるのにかからない場合
- 長期間放置していた車でガソリンが劣化している疑いがある場合
- 燃料ポンプやインジェクターの不具合が疑われる場合
これらはユーザーによる対処が困難です。
近隣の整備工場、またはロードサービスを通じて車両を搬送してもらい、点検・修理を依頼しましょう。
スターターモーターやセルモーターの不具合
自分で対処できる可能性があるケース
実は、ギアの位置(AT車ならPまたはN、MT車ならクラッチを踏んでいるか)によっては、車が始動しない仕様になっています。
まずはギアの位置やクラッチ操作などを再確認してみましょう。
プロに連絡すべきケース
- キーを回しても完全に無反応な場合
- セルモーターから異音や焦げた匂いがする場合
これはスターター本体や電装系にトラブルが発生している可能性が高いため、自力での対処は難しくなります。
すぐに整備工場やディーラーへ連絡し、レッカー搬送を依頼しましょう。
電装系・ヒューズの異常
自分で対処できる可能性があるケース
経験のある人であれば、車載ヒューズボックスを開けて該当箇所のヒューズ切れを確認し、予備と交換することで回復する場合があります。
ただし、ヒューズ切れの原因を把握しないまま交換を繰り返すのは危険です。
プロに連絡すべきケース
- 電装系が一切動かない
- ヒューズを交換しても再び切れる
- 焦げたような異臭がする場合
これらはショートやリレー、配線トラブルなど深刻な原因が隠れている場合があります。
電気系統に関しては整備士による点検が必要です。
点火系の問題(プラグ・イグニッション)
自分で対処できる可能性があるケース
基本的に点火系の不具合は自分で確認・修理するのは難しいため、一般ユーザーの対応範囲外と考えましょう。
プロに連絡すべきケース
- エンジンがクランキングはするが始動しない
- 定期点検から時間が経過しており、プラグの交換歴が不明な場合
- 走行中にもエンジンが停止する症状があった
こういった症状があれば、イグニッションや点火系統の部品交換が必要なケースが多く、整備士の判断が重要になります。
連絡先と備えておきたいもの
万が一、車のエンジンがかからなくなったときに慌てないためにも、事前に備えておくべき緊急連絡先と車載アイテムはとても重要です。
ここでは、信頼できるロードサービスの連絡先と、常備しておくと安心なアイテムについて解説します。
ロードサービス連絡先の控えはすぐ見られるように
エンジントラブルが発生した際、最も頼れる存在がロードサービスです。
特に、自分での対応が難しい場合や、夜間・遠方でのトラブル時には心強い味方になります。
以下の連絡先は、スマートフォンの連絡先リストや車内のグローブボックスに控えておくと安心です。
JAF(日本自動車連盟)
日本全国で24時間365日対応している最大手のロードサービスです。
JAF会員であれば、バッテリー上がり・キー閉じ込み・パンクなどのトラブルも無料対応の範囲内です。
- 電話番号:#8139(ハイサンキュー)
- 会員でない場合でも有償対応可。スマートフォンアプリでも要請可能。
- 会員登録しておくと、年会費(4,000円程度)でさまざまなトラブルに対応してもらえる安心感があります。
自動車保険に付帯しているロードサービス
ほとんどの任意保険には、無料で利用できるロードサービスが付帯しています。
主に、以下のようなサービスが用意されています。
- バッテリー上がり対応
- レッカー搬送(一定距離まで無料)
- ガス欠時の燃料補給(燃料代は有償)
- スペアタイヤへの交換
連絡先は各保険証券やスマホアプリで確認できます。
いざというときに備えて、契約している保険会社のロードサービス内容を事前に確認し、電話番号はスマートフォンに登録しておくのがベストです。
カーディーラーや整備工場の連絡先
自分が普段からお世話になっているディーラーや整備工場の電話番号も控えておくと便利です。
トラブル発生時に見てもらえるかの確認や、搬送後の対応についてスムーズにやり取りできます。
また、担当整備士の名前や営業時間もメモしておくと安心です。
メーカー保証やディーラー保証が適用される場合もあるため、最初に相談するのも一つの選択肢と言えます。
備えておくと安心な車載アイテム
いざという時の備えがあるだけで、対応力は大きく変わります。
以下は、エンジンがかからないというトラブルを想定したうえで、車に常備しておきたいアイテムです。
モバイルジャンプスターター
携帯可能なサイズながら、大容量のリチウムバッテリーでエンジン始動ができる優れものです。
近年はUSBポート付きでスマートフォン充電も可能なタイプが主流です。
バッテリー上がり時に他車の助けなしでエンジンの始動ができます。
一回の充電で複数回の始動でき、LEDライト付きで夜間でも安心です。
携帯用携行缶(ガソリン補給用)
万が一のガス欠時に備え、少量のガソリンを安全に持ち運べる携行缶も有効です。
ただし、ガソリンスタンド以外での給油・保管は厳重な管理が必要です。
給油時は必ずスタッフに依頼し、自分で注ぐのは避けるようにしましょう。
また、保管中は高温多湿の場所を避けることが大切です。
懐中電灯・作業用グローブ
夜間や悪天候時にトラブルが発生した際、視界を確保しながら安全に作業をするために必要です。
LEDタイプで長時間点灯可能なものが理想です。
軍手や滑り止め付きグローブは、車載工具使用時に便利なため持っておくと良いでしょう。
整備手帳・車検証の控え
トラブルの際、車両情報や点検履歴がわかる整備手帳があると、整備士への説明がスムーズです。
車検証のコピーも積んでおくと、本人確認や型式確認が即時に行えます。
スマートフォン充電器
緊急連絡や現在地の特定、ロードサービスの呼び出しにはスマートフォンが不可欠です。
モバイルバッテリーやシガーソケットタイプの車載充電器を積んでおくと、バッテリー切れの心配がありません。
まとめ
車のエンジンがかからないトラブルは、誰にでも突然起こり得る身近な問題です。
しかし、原因を冷静に見極め、適切な対処法を知っておくことで、大きな不安や二次トラブルを防ぐことができます。
バッテリー上がりや燃料切れなど自分で対応できるケースもあれば、スターターモーターや電装系の異常のようにプロの力を借りるべき状況もあります。
重要なのは、日常的な点検と備えと困ったときは誰に頼るべきかを把握しておくことです。
ロードサービスの連絡先や最低限の車載アイテムを準備しておくだけでも、いざというときの安心感は大きく違ってきます。
トラブルを完全に防ぐことはできなくても、落ち着いて正しく行動できれば、車との信頼関係もより深まるでしょう。
安全で快適なカーライフのために、今一度、愛車の状態と自分の備えを見直してみてはいかがでしょうか。