「お気に入りのヘアカラーに染めたはずなのに、すぐ色が抜けてしまった」といった経験をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
特に、きれいに染まった直後の髪色がすぐに褪せてしまうと、がっかりしますよね。
この記事では、「ヘアカラー色落ちなぜ?」という疑問をテーマに、色落ちのメカニズムと主な原因・美しい髪色を長持ちさせるための具体的な対策まで、詳しく紹介します。
目次
色落ちとは何が起きている状態?
「色落ち」とは、ヘアカラーによって髪の内部に入った染料が、何らかの理由で髪の外に流れ出てしまう現象のことを指します。
色味が薄くなるだけでなく、元の髪色やブリーチの有無によっては、赤みや黄ばみが強く出てくるなど、見た目に大きな変化が現れます。
ヘアカラーの仕組みと髪の内部変化
一般的なヘアカラー剤は、まず髪の最も外側を覆う「キューティクル」という部分を開く作用があります。
これは、カラー剤に含まれるアルカリ成分などによって髪が膨らみ、キューティクルが開きやすくなるためです。
キューティクルが開くことで、カラー剤はコルテックス層にアクセスし、そこに染料を浸透させて髪を染め上げます。
しかし、一度開いたキューティクルが、カラー施術後に完全に閉じきらなかったり、日常生活でのダメージによってその閉じる力が弱まったりすると、髪の内部に入った染料がどんどん外に流れ出てしまい、結果として色落ちが加速してしまうのです。
ヘアカラーが色落ちする主な原因とは?
ヘアカラーの色落ちには、さまざまな要因が複雑に絡み合っています。
適切なメンテナンスを行うためにも、考えうる原因を把握しておくことが大切です。
髪のダメージ
ヘアカラーに限らず、パーマや過度なアイロン・日々のブラッシングなどによる摩擦・紫外線など、さまざまな要因で髪はダメージを受けます。
ダメージを受けた髪は、キューティクルが開きっぱなしになったり、閉じる力が弱るため、染料が抜けやすくなります。
特に、濡れた髪はキューティクルが開きやすく、お互いがこすれ合うことで傷つきやすい状態になります。
ダメージが大きければ大きいほど、染料の流出が早まり、色落ちが加速してしまいます。
誤った洗髪
洗髪は、色落ちの最も大きな原因の一つです。
特に染めた直後は、カラー剤が髪内部にまだ完全に定着しきっていないため、シャンプーによって染料が流れ出てしまうことがあります。
また、洗浄力の強いシャンプーは、色持ちに悪影響を与えることが多いため、避けるべきです。
さらに、熱いお湯での洗髪は、キューティクルを開きやすくし、染料の流出を促進させてしまいます。
ゴシゴシと強くこするように洗うことも、髪に摩擦ダメージを与え、色落ちを進めてしまう原因になるため注意が必要です。
紫外線やドライヤー・アイロンの熱ダメージ
紫外線は、髪の色素を分解する原因の一つです。
髪が紫外線にさらされると、キューティクルが傷ついて髪内部までダメージを受け、そこから染料が流出します。
またメラニン色素が分解され、髪色が薄くなったり、赤茶けた色に変化したりすることもあります。
そのため、外出が多い季節や日差しの強い環境では、カラーの退色が早まりやすいです。
さらに紫外線だけではなく、ドライヤーやヘアアイロン・コテなどの熱も髪に大きなダメージを与えます。
過度な熱は髪のタンパク質を熱変性させ、髪の水分低下やキューティクルの剥がれを引き起こす原因となります。
これにより色素の流出が助長され、色落ちが加速してしまうのです。
カラー剤の種類や髪質
使用するカラー剤の種類によっても、色落ちの速度は異なります。
例えば、髪の表面をコーティングするように染める「ヘアマニキュア」は、髪内部に浸透する「アルカリカラー」に比べて、表面染めなので色落ちが早い傾向にあります。
さらに、髪質(太さ・硬さ・ダメージレベルなど)によっても色の定着力に差が出ます。
太くて硬い髪はカラー剤が入りにくい一方で色持ちが良い傾向があり、細くて柔らかい髪は薬剤が入りやすいものの、染料の定着力が弱く色落ちしやすいです。
ブリーチあり・なしの違い
ブリーチをしてからカラーを入れると、発色がよくなる反面、髪の内部が空洞化しやすく、染料が抜けやすくなります。
これは「ダメージホール」と呼ばれる髪内部の空洞が原因で、染料の定着が弱まり、流出が早まってしまうためです。
そのため、ブリーチありのカラーはどうしても色落ちが早くなりがちです。
何度もブリーチしているなど、髪のダメージが激しい場合は、わずか3日ほどで色落ちすることもあります。
なぜ色落ちしやすい髪とそうでない髪があるのか?
同じヘアカラーをしたとしても、人によって色落ちの仕方が異なります。
その要因にはどのようなものがあるのか、表で説明します。
要因 | 状態・特徴 | 色持ちへの影響 | 解説 |
髪質(太さ・硬さ) | 太くて硬い髪 | 色持ちは良い | キューティクルがしっかりしており、染料の流出を抑制。染まりにくいが定着しやすい。 |
細くて柔らかい髪 | 色落ちしやすい | 薬剤は浸透しやすいが、キューティクルが薄く染料が抜けやすい。 | |
キューティクルの状態 | 健康な状態 | 色持ちは良い | 染料をしっかり保持し、髪内部に留めやすい。 |
傷んでいる or 薄い | 色落ちしやすい | 染料が留まりづらく、均一な発色が難しい。 | |
事前の髪のダメージレベル | 傷みが少ない(ケアされている) | 色持ちは良い | 髪内部がしっかり詰まっており、染料が均一に定着しやすい。 |
ダメージが蓄積している | 色落ちしやすい | 髪内部に「ダメージホール」が多く、染料が抜けやすい。 | |
施術時の技術・薬剤の選定 | 適切な薬剤選定と丁寧な塗布 | 色持ちは良い | 髪質・ダメージに合った対応で染料がしっかり定着。 |
薬剤が強すぎる or 塗布ムラがある | 色落ちしやすい | 不均一な染まりや、過剰な負担によって色が抜けやすくなる。 |
ヘアカラーの色落ちを防ぐためにできること
さまざまな要因によって引き起こされる色落ちですが、防ぐためにはどのようなことをすればよいのでしょうか?
日常でも取り入れやすい心がけや、正しいヘアケアを紹介します。
正しい方法で洗髪する
ほぼ毎日行う洗髪方法が誤って入れば、その分ヘアカラーに与える悪影響も大きくなります。
習慣的に行うことだからこそ、注意すべきポイントを押さえておきましょう。
- カラー直後の洗髪を避ける…カラー後48時間は染料が定着しきっていないため洗髪は控えましょう。当日はシャンプーせず、洗う場合もぬるま湯のみで優しく流す程度に留めることが大切です。
- 適切な温度と洗い方…洗髪時は38℃程度のぬるま湯を使い、髪をゴシゴシこすらず優しく洗いましょう。熱すぎるお湯は色落ちの原因になるので注意が必要です。
- 低刺激シャンプーの選択…洗浄力の強いシャンプーは避け、アミノ酸系など低刺激のものを選びましょう。またカラー用シャンプーは、色持ちやダメージ補修に効果的です。
色落ちを防ぐアイテムを取り入れる
色持ちを格段にアップさせるために、以下のようなアイテムの活用が効果的です。
- カラーシャンプー…染料入りのシャンプーなので、洗うたびに色素を補給できます。紫は寒色系やブリーチ毛・ピンクは暖色系に効果的です。
- カラートリートメント…色素を補いながら、髪のケアもできるアイテムです。シャンプー後に使うことで、退色を防ぎつつツヤと手触りもキープできます。
- 洗い流さないトリートメント(アウトバストリートメント)…ドライヤー前に使うことで熱から髪を守り、色素や栄養の流出を防ぎます。UVカット効果があるものは紫外線対策にも効果が期待できます。
保湿を徹底する
カラー後の髪は、ダメージを受けやすく乾燥しやすいため、保湿ケアが非常に重要です。
ヘアオイルを使って髪に水分と油分を補給することで、髪の表面にあるキューティクルを保護し、染料の流出を防ぐ効果が期待できます。
特に、毎日のスタイリングや外的刺激から髪を守るためには、日々の保湿が欠かせません。
紫外線対策を行う
紫外線は髪の表面に直接ダメージを与えるだけでなく、色素を分解して褪色させる原因にもなります。
特に、マット系やアッシュ系などの寒色系カラーは紫外線に弱く、変色しやすい傾向があります。
そのため、外出時には帽子や日傘を活用したり髪にも使えるUVカットスプレーを併用したりなど、紫外線対策を怠らないようにしましょう。
色落ちを味方にするカラー選び
あえて「色落ちしてもきれいなカラー」を選ぶのも、一つの方法です。
退色しても黄ばみや赤みが目立ちにくく、ナチュラルな印象を保てるカラーや色の変化を楽しめるカラーが人気です。
明るめのカラーの場合
- 9レベルのショコラブラウン…赤みを感じにくい暖色系カラー。ツヤ感があり、色持ちが良いのが特徴です。
- 9・12レベルのスモーキーグレージュ…ベージュにグレーを加え、赤みを抑えつつ、退色後も黄ばみにくく長持ちします。
- 10レベルのオリーブベージュ…赤みやオレンジを抑えるカラーで、色落ちを感じにくく、落ち着いた印象を保ちます。
- 11レベルのミルクティーベージュ…ラベンダーとミルクティーを調合。退色も考慮され、長く楽しめる柔らかな色味です。
- 12レベルのマスタードベージュ…黄みの強い色味で、日本人の髪質に馴染みやすく、色持ちも優れています。
- インナーカラー+ウォームベージュ…ナチュラルなブラウン系で色落ちしにくく、ファッションやメイクとの相性も抜群です。
暗めのカラーの場合
- 暗めのブルー系・ラベンダー系…ブルーは色落ちでグレージュに、ラベンダーはブリーチありでミルクティーベージュ、なしでブロンドに変化し、色落ち後も美しいです。
- 6レベルのバイオレット…赤みのある暖色系で透明感があり、肌なじみ抜群。顔色を明るく見せ、日差しによる褪色にも強いのが魅力です。
- 6レベルのアッシュグレージュ…暗めながらも透明感があり、色落ちしてもオレンジっぽくならず、色持ちが良いのが特徴です。
- 7レベルのラベンダーベージュ…赤みを抑え、ツヤと色持ちが優秀。日本人の肌色にもマッチしやすい万能カラーです。
- 8レベルのショコラピンク…女性らしさを引き立て、肌映りも良好。黄色く抜けやすい髪にもおすすめで、色持ちにも優れています。
- 8レベルのブラウンベージュ…柔らかく明るい印象を与えるナチュラルカラー。やや赤みを含むことで色が長持ちします。
- 8レベルのピンクブラウン…赤みを活かした暖色系カラーで、肌をきれいに見せます。暖色メイクとも相性が良く、色持ちの良さも魅力です。
よくある質問(Q&A)
Q
カラーしてからどのくらいで色落ちが始まりますか?
A
一般的には、カラー当日〜数日で「表面の余分な染料」が流れ落ち、1〜2週間で色味の変化を感じ始めることが多いです。ただし、髪質やカラーの種類によって差があります。
Q
市販のカラーと美容院カラー、色落ちしやすいのはどっち?
A
一般的に美容院のカラーは髪質に合わせて薬剤を調整してくれるため、色持ちが良くダメージも少なめです。市販のカラー剤はやや強めで、色落ちしやすい傾向があります。
Q
色落ちした髪にカラートリートメントは有効ですか?
A
はい、有効です。カラートリートメントは色素を補いながら髪をケアしてくれるので、色落ち後の色味を整えつつツヤ感も与えてくれます。
まとめ
ヘアカラーが色落ちするのには、さまざまな理由があります。
髪質・使用するカラー剤の種類・シャンプーの仕方や日々のダメージケアといった日常の習慣まで、複数の要素が複雑に関わっているからこそ、色落ちの原因を正しく理解し、適切に対策を講じることが大切です。
そして、もし色落ちしても悲観する必要はありません。
退色後の髪も「透明感」や「抜け感」といった別の魅力が生まれます。
あらかじめ色落ち後の色味を想定したカラー選びを行うことで、変化を楽しむことも十分可能です。
髪色を長くそして美しく楽しむために、今日からできるケアを少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
ヘアカラーをうまく付き合っていくことで、もっと自由かつ自分らしい表現が出来るようになります。
美しいカラーを少しでも長く楽しむためにも、毎日のひと手間を惜しまず、髪をいたわるケアを行うことが大切です。